十三回忌に寄せて

むらかみです。

今日は僕が最も尊敬するアーティスト、
クリストファーネメスさんの十三回忌にあたる日なので、
大切な節目として、ブログを書かせていただきます。

先日、モード 評論家の平川武治さんとお席を共にさせて頂く機会があり、
デザイナーについてたくさんのお話を聞かせて頂きました。
「なりすまし」なデザイナーが多い中、ネメスは真のデザイナーとの言葉。
そして、自分が一番似合う服を作るという、稀に見るデザイナーであったと。
そしてファンというのは、デザイナーの産みの苦しみに共感したくて
その服を着るんだ、という事も話されていて、深く頷きながらお話を聞かせていただきました。

平川さんがネメスに寄せて書かれたブログを見つけましたので
シェアさせていただきます。

クリストファー-ネメス氏の悲報を知って、

Christopher Nemethの10回忌だった、9月22日。

そして、僕が15歳の時に始めてお店に行った時に
接客してくれた店員さんとも20年以上振りに再会出来ました。
全く変わらないお姿にタイムスリップしたような気分。
その方が語ってくれたデザイナーのエピソードも
とっても最高で、自分にとっては宝物な時間になりました。

僕がはじめてネメスの服を知ったのは15歳の時です。
「なにこの服?!」と雑誌を見てびっくりし、
当時、Macを買う為に新聞配達のバイトをしていたのですが、
その一部のお金を持って、
大阪の四ツ橋にあるお店へ行きました。

15歳の僕にとっては、ブランドのお店に行くなんて始めての経験だし、
すごく怖くて緊張していました。
雑誌で見たパンツを手に取って、試着もせずに
「これください」とレジに行きました。
緊張で、恥ずかしくて、早くお店を出たかったからです。
でも(上記20年ぶりに再会の)店員さんは優しく「着てみてくださいね」と
試着するように勧めてくれました。

それからお店にいく度に緊張はなくなっていき、
はじめてデザイナーと対面したのが18歳の時です。
高校を卒業してロサンゼルスに留学したものの、
ホームシックになり半年で帰国、、(今なら考えられない!^^;)
映画を勉強したくて行ったのに、挫折して日本に帰ってきた直後に
デザイナーが大阪に来て対面しました。
そして、デザイナー自身が大工をして1から手作りで仕上げたお店で
服の話や表現の話を聞かせてもらいました。
僕はデザイナーが「行動すれば出来る」と語ってくれた
DIY(Do it yourself.)のお話で
挫けていた心にまた火が灯ったと思っています。
あのタイミングで、あの出会いがなかったら、
今自分で映画を作る事は
諦めていたかもしれないです。

亡くなってから12年。そんなに経ったのかと愕然とします。
その時間の中で、自分はどのような仕事が出来たのか。
全然出来てない、もっと出来たはず、と考えるけど
後を向いても仕方がないので前を向いてやっていくしかないです。
だらしない自分に鞭打ってくれる存在。
くじけそうな時、
いつも心の中心に道標のように存在し続けてくれている。
僕が自分で映画を作ってみようと思って始めた事、
そして今でも続けてこれたのは
あなたがいたから。あなたと出会えたからです。
ありがとうございます。
あなたから受けた影響を広げて、返していけるよう
もっと、もっと、頑張ります。